クローグ村
「…どうだ、まるでこの街はあの悲劇みたいではないか。『クローグ村』のような、な」
アレックスの言葉にレイが僅かに眉を寄せた。
「…あんたはいつから変わったのだ?『レジスタンス』にいた頃は誰もがあんたを敬い、将来の『レジスタンス』を背負ってたち、必ずや『クロノス』を壊滅させるであろう、とまで言われたレイ=バーンハルトは…どこにいったんだ?」
レイは重い口を開いた。
「…訳は、まだ、言えん…そして、『クローグ村の悲劇』は…いや、彼等は俺がこの手で殺したのは事実か…老若男女問わず、灼熱の炎で、な…」
アレックスはギリギリと拳を握り締めた。その手からは鮮血が滴り落ちている。
「…俺は…あんたを…父を…信じていた…これらの情報は全て嘘だと…訳も言わずに脱走したのも何か事情があっての事だと…だが…それも間違いだったようだ…」
アレックスは鞘からロングソードを抜き払った。
街を覆う炎が剣に照り返され、ギラリと凶悪な光りを放つ。
「…今、俺は裁きを受ける訳にはいかない…」
レイもアレックスに呼応するかのように、二本のミスティックメタル神銀鋼製ナイフを腰から抜く。
その刹那、両者が駆け出し、接近する。
アレックスはロングソードをレイの顔目掛けて。
レイは二本のナイフをアレックスの顔目掛けて。
振り下ろす。突きつける。
交錯した両者の顔からは一筋の血が流れている。
二人は互いの相手に振り向き、再び剣撃を浴びせようとする。
アレックスのロングソードはレイの左手を。
レイのナイフはアレックスの右足を。
切り裂いた。だが、両者ともその傷は浅い。
再度接近し、剣撃を応酬する二人。
互いの肉体には浅いが、無数の傷が出来ていく。
アレックスの部下達はそのレベルの高い戦闘を目で追うのがやっとで、二人の間に割って入ることは出来なかった。
両者が同時に攻撃を仕掛け、剣とナイフが衝突し、鈍い金属音が辺りに響く。