アレックス
アレックスの表情は無い。それが、相手が自分の実の兄だからか、それとも他に理由があるのかは定かではない。
レイの表情は対照的に苦渋の表情だ。滅多に顔色を変える事が無いレイが、苦しそうにしているのは自身がきゅうち窮地に追い込まれている為か、それとも…
「裂空刃!」
風の刃がレイの左足を切り裂く。切り裂かれる寸前に風の音を聞き分けて避けている為、致命傷を負ってはいないが、それでもレイが不利である事に変わりはない。
「…どうした、『双刃の死神』。これしきのことで貴様の罪は消えんぞ!」
アレックスは冷酷に言葉の刃でもレイを切りつける。
「…そんな事はわかりきっているさ…今も、昔も、な…」
傷だらけになりながらも、レイの瞳から力は失われていない。
その目を見てアレックスは不思議に思った。
兄は変わったはずだ。誰もがそう言って、事実、兄もそのことを認め、自らの手をむこ無辜の民の血で染めていることも告白した。