裂空刃
自分は何としても兄を倒さなければならない。そして、何故兄がこのような行為をしてきたのかを聞く必要がある。
ロングソードを上段に構えるアレックス。
レイは二本のナイフを構え、前傾姿勢を取った。
アレックスは一つ、息を吸い込んだ。
「裂空刃!」
風の刃がレイの胸元に放たれる。レイは風の刃目掛けて突っ込んで来た。
風の刃がレイを切り裂くと思われた瞬間。
レイは二本のナイフを、常人の腕では耐え切れないであろう、想像を絶する程の高速で数十回交差させた。
二本のナイフから不可視の真空波を発生させ、風の刃をかき消す。
真空波はそのままアレックスに向かってくる。
「裂空刃!」
ロングソードを数度振り、いくつもの風の刃を巻き起こす。
しかし、無常にも風の刃は不可視の真空波に全て掻き消された。
真空波がアレックスを直撃し、ズタズタにアレックスの体を引き裂いていく。
アレックスは血を吐きながら地に倒れ伏した。
その光景を見ていたアレックスの部下達はしばらくして正気を取り戻した。
「バ、バーンハルト隊長!」
すぐさまアレックスに駆寄る部下達。
「く、くそっ!隊長のかたき敵!」
げっこう激昂した一人の部下がレイに切りかかろうとしたその時。
「やめろっ!」
後ろを振り返った一人の部下が見たものは、他の部下達の肩を借りて立ち上がるアレックスの姿だ。
アレックスは部下達の手を振り払って前に進み出た。
「…どうしてその技を最初から使わなかったんだ?」
「…………」
レイは何も言わない。
「…他にも聞きたい事はたくさんある、が…時間がないんだろう?」
レイは黙って頷く。
アレックスは目を閉じ、呟いた。
「…行けっ…!」